妙高火打 薬師岳(1801.7m)、松尾山(1677.8m)、柳原山(1788m)、堂津岳(1926.6m)、 2012年5月19日  カウント:画像読み出し不能

所要時間  5:32 除雪終点−−6:05 杉野沢橋−−6:23 真川を離れる−−7:05 尾根に乗る−−7:30 1640m肩−−8:16 薬師岳(休憩) 8:38−−9:18 乙見山峠−−10:01 松尾山(休憩) 10:26−−11:53 柳原山(休憩) 12:25−−13:13 堂津岳(休憩) 14:08−−14:48 柳原山−−15:21 1752m肩−−15:33 1340m平坦地−−15:45 林道に乗る−−15:57 妙高小谷線分岐(休憩) 16:12−−17:28 杉野沢橋−−18:05 除雪終点

場所新潟県妙高市/長野県北安曇郡小谷村
年月日2013年4月20日 残雪期日帰り
天候
山行種類残雪期登山
交通手段マイカー
駐車場笹ヶ峰奥の林道除雪終点に駐車スペースあり
登山道の有無薬師岳〜松尾山間は踏跡ありそうだが大部分は無し
籔の有無雪が落ちて一部あり。たぶん無雪期は激籔
危険個所の有無真川右岸から1640m肩までは急斜面&痩せた岩稜
山頂の展望各ピークとも良好
GPSトラックログ
(GPX形式)
無し
コメント・起点は笹ヶ峰奥の黒沢橋(除雪終点)
・林道脇に駐車スペースあり。登山ポストあり
・本コースは林道以外は道無しで残雪期専用
・林道は最初だけ雪が消えた場所があるが、杉野沢橋まで林道の9割は雪に埋もれる
・真川右岸から1640m肩までの尾根は痩せた岩稜で転落注意
・薬師岳は雪田が最高峰。周囲には熊の足跡あり
・乙見山峠〜薬師岳間は断続的に踏跡あり
・乙見山峠はトンネル西側出口に向かって明瞭な道あり
・地形図では乙見山峠〜堂津岳まで登山道があるように書かれているが廃道。特に松尾山〜堂津岳は完全に道無し
・松尾山は三角点が出ていた。展望良好
・松尾山から堂津岳間は柳原岳直下を除いて雪が使えた
・柳原岳は展望良好
・柳原岳〜堂津岳間はなだらかな雪稜線が続き気持ちいい尾根
・堂津岳は平坦な山頂。三角点が出ていた。高い木は無く大展望
・帰路は柳原岳北方の1710m峰から北東尾根に入り、1752m肩から少し東に下って北斜面を下りた。1752m肩から東の尾根上で籔が出ていたが、他は雪が使えた
・ニグロ川沿いの林道の大半は雪に埋もれる


ルート図。クリックで拡大


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笹ヶ峰の黒沢橋付近に駐車スペースあり 黒沢橋から100mくらいで残雪始まる
路肩崩壊あり 杉野沢橋
堰堤を越える 堰堤の先は広い河原
切り立った右岸。雪解け水で増水して靴水没確実 残雪を伝って高巻きする
水平移動に移行 籔の小尾根を越えて次の雪渓へ
雪が長く続きそうで上を目指す 雪渓上端。右側の小尾根に取り付く
雪渓上端から見た焼山〜火打山
取り付いた小尾根。灌木はさほど濃くない 標高1550mくらいで尾根に乗る
予想外の痩せた岩稜が続きビビるが突破不能な難所は無かった 1640m肩で赤尾岳からの尾根に乗る
1640m肩付近から見た南側の展望
焼山、火打山拡大。まだまだ真っ白

1640m鞍部付近は尾根が広がり残雪あり 熊の足跡登場
まだ雪が途切れるが薬師岳山頂が見えた 積雪期用の目印?
南斜面に残雪が現れる 残雪を伝って登る
真新しい明瞭なトレース現る ここだけ僅かに雪が途切れて籔を横断
トレースの主は人間ではなく熊だった 人間の足跡と大きさは遜色なし

薬師岳山頂 薬師岳山頂付近にも熊の足跡
薬師岳から見た南側の展望
薬師岳から見た東側の展望
薬師岳から見た北アルプス(クリックで拡大)
南側から見た薬師岳 堂津岳はまだ遠い
また熊の足跡 薬師岳を振り返る
1700m峰直下の下りで20mほど籔に突入 1680m峰への登り
1680m峰を巻いて1690m峰へ。でも結局登ることに
1690m峰から見た薬師岳方面の展望(クリックで拡大)
雪が消えて尾根上の踏跡を歩く 次の目的地の松尾山
乙見山峠。小さなお地蔵様あり トンネル西側に下る明瞭な道
新潟県境全縦走か! 松尾山方向は踏跡が続く
1654m峰から見た妙高火打
1654m峰から見た松尾山 1590m鞍部付近から見た松尾山方向
1590m鞍部付近から見た1654m峰 もうすぐ松尾山
松尾山山頂 松尾山から見た焼山
松尾山から見た堂津岳。まだ遠い
松尾山から見た後立山北部(クリックで拡大)
松尾山を出発、南下する 1640m肩までの水平区間は籔が出ていた
1640m肩から見た1664m峰 1664m峰への登り
1664m峰から見た堂津岳方面
1664m峰から見た薬師岳方面
1664m峰直下のみ籔 でも短距離で残雪が復活
1570m鞍部へ下る。途中でプチ滑落し右肘強打 1660m峰への登り
1664m峰を振り返る
1680m峰への登り 1710m峰。雪がつながっていそう
1710m峰への登り 雪庇が階段状にうねる
1710m峰から見た柳原岳
1680m鞍部
1680m鞍部から1710m峰を振り返る
柳原岳へ登る。雪が割れた個所は籔尾根を迂回 籔は笹がメイン。尾根直上は灌木が混じる
残雪に戻る 柳原岳北峰
柳原岳北峰から見た北方向(クリックで拡大)
柳原岳北峰から見た柳原岳南峰(地形図の山頂) 柳原岳南峰。最高点は籔が出ていた
柳原岳南峰より堂津岳方向。残雪が豊富
柳原岳から見た地蔵山と乙妻山
柳原岳を振り返る 1832m峰付近の二重山稜
二重山稜の真ん中の谷 1850m峰付近から堂津岳方向
1920m峰へ登る 1920m峰から見た堂津岳
1920m峰から振り返る
堂津岳山頂 堂津岳三角点
堂津岳から見た北方向の展望(クリックで拡大)
堂津岳から見た東〜南方向の展望(クリックで拡大)
堂津岳から見た北アルプス(クリックで拡大)
下山開始
1920m峰から見た北方向の展望(クリックで拡大)
1850m峰 二重山稜
1820m肩付近から見た柳原岳
柳原岳北峰から見た1680m峰
柳原岳より下る。雪が割れた個所で籔に潜る 1710m峰は東を巻いてしまう
巻き終わって1660m鞍部に出る 1680m峰
1680m峰〜1572m肩に延びる尾根。残雪あり 棚魏原岳を振り返る
平坦な尾根を進む 1572m肩。尾根上の残雪はここまで
1572m肩より東に進むと籔が出ている 眼下にはニグロ川左岸の平坦地
雪が付いた北斜面を下る。結構な急斜面 また熊の足跡
ニグロ川左岸の平坦地。雪で林道の痕跡なし 河岸段丘直上に林道が移った地点で林道発見
スノーモービル跡 乙見山峠のトンネルに出る林道分岐
赤尾岳南側は雪が消えて楽に歩ける 杉野沢橋で2台のスノーモービルに追い越された
ゴール! 今日はロングコースで疲れた


 妙高火打焼山エリアの南西部、長野/新潟県境には1600mを越える山がいくつかあり、明らかに道が無い山もある。地形図では乙見山峠から堂津岳まで破線が書かれているが、こんな夏道があるとは聞いたことがない。通常、堂津岳は残雪期に鬼無里側の奥裾花自然園から登るのが一般的であり、登山道があるならそれを使うのが普通のはずで、この破線は嘘だろう。峠から一番近い松尾山くらいまでは道があるかもしれないが、その奥は怪しい。下山後ネットで検索したら、案の定、松尾山までは踏跡程度はあって無雪期に登った記録がヒットしたが、柳原岳や堂津岳まで歩いた記録は見あたらなかった。ちなみに柳原岳の記録は1件も発見できなかった。

 残雪期も終わりに近づき、雪があるのは標高が高いところか豪雪地帯のみ。豪雪地帯でもこの時期に雪があるのは火打周辺のみで、天狗原山から南側の県境尾根を雪を利用して歩けるのも最終盤だろう。部分的に藪が出ている可能性は大きいが挑戦することにした。目指す山は薬師岳、松尾山、柳原岳で、時間があれば堂津岳も入れよう。赤尾岳は夏道があるのでパスするかも。雪の状態によっては登るか。

 笹ヶ峰から奥の林道はどこまで入れるかと思ったら、例年の大型連休と同じく最初に渡る黒沢橋までであった。その先はそれなりに雪が解けているが、100mほど進んだところで帯状に雪が残って車では無理だった。橋までバックで戻り出発準備。もうワカンの出番は無いのでピッケルに12本爪アイゼンとする。天気予報は快晴で防寒装備も少なめだ。所要時間はかなり長いと予想され、飯と水は多めに持った。

 最初こそ林道は雪解け部分が多いが500mも進むと一面の残雪。ただ、雪が締まってほとんど沈まないので楽だ。気温は0℃、水たまりに薄く氷が張っていた。杉野沢橋を渡って真川右岸を北上、薬師岳から東に延びる尾根のどこかに取り付くことを考えたためだ。北斜面なのでそれなりに高いところまで雪が付いていると思われる。赤尾岳東斜面はけっこう雪が消えていて、尾根に乗ると藪漕ぎ確実そうなので今回はパスとした。

 堰堤横を乗り越えて平坦な河原を進むと切り立った岸に流れが接した場所が登場。数年前の6月に焼山に登ったときにここを通過しているが、今回は雪解け水が多くて靴が水没確実な水量だ。ここは残雪を利用して高巻きしてパスすることにした。すぐに河原に降りられるかと思ったら切り立った斜面が続き、下れる場所を見つけた頃にはそれなりに高度が上がっていた。せっかく稼いだ標高を落とすのももったいないし、斜面上部を見ると残雪が続いているのでこのまま上を目指すことにした。薬師岳東尾根のどの辺に出るのかは到着してのお楽しみだ。上部の傾斜が急なのでアイゼン装着。

 締まった雪でアイゼンが気持ちよく決まりぐんぐん高度を上げる。背後には真っ白な焼山。まだまだスキーを楽しめそうな斜面が広がる。できるだけ薬師山頂に接近すべく雪渓の右側(西)を登り、小尾根を超えた先にも雪渓が続いている場合はそちらに乗り換える。広い雪渓を上がっていくと終点が見えてきた。イヤらしいことにこの辺は明るいブナ林なのに上部の尾根は緑色の針葉樹林が続いている。このような植生パターンでは針葉樹は岩の存在を示唆する。その証拠に尾根上部は数mの絶壁状態で直接取り付くのは不可能で、右手の藪が出た小尾根に取り付いて東尾根に突き上げることにした。小尾根はブナ、灌木が生えているので岩はないようだ。取り付いてみると灌木はさほど濃くなく、尾根に乗ると歩きやすくなった。東尾根直下で傾斜が急であるが、藪があるので問題なく登り切った。

 東尾根に出ると植生から推測したとおり岩混じりの痩せ尾根の連続だった。尾根の両側は10m以上切れ落ちて迂回不可能。今回は岩登りはないだろうとお助けロープは持ってこなかったので、私の技量では突破できない危険箇所が出現したら、これまで登ってきたルートを雪があるところまで標高を落とし、巻けそうな場所を探す必要がある。ビクビクしながら進んでいくが、ラッキーにも大きな岩は登場せず、岩にまとわりついた針葉樹をホールドやスタンスにも利用して次々とクリアしていく。1カ所だけ登れそうにないのっぺりした岩が出てきたが、これは南側を迂回するスペースがあった。他の場所もドキドキする場面は多かったが決定的に危険な場所に出会うことはなかった。獣道だろうか、それなりに筋も付いていたが目印は見られなかった。

 赤尾岳からの尾根に合流すると危険地帯は終了。立木に目印が見られるようになる。もうアイゼンは不要だろうとザックに収納。最初はまだ雪は無く尾根上の藪を歩いたが、1650m峰を越えて下りにかかると待望の残雪の尾根に。でもまだ雪は断続的で、尾根南側の雪棚が落ちてしまった場所は尾根上の笹+灌木藪を歩いた。この付近の藪はまだ我慢の範囲内で無雪期でも歩けるレベルだった。

 再び雪が現れると熊の足跡登場。真新しく明らかに今日付いたものだ。ただ、私とは逆方向(下り)に進んでいるので遭遇の危険性はない。熊は素手なので雪は冷たくてできるだけ避けたいらしく、尾根上の藪がさほどひどくない場所では雪の上に足跡はなく、灌木がひどくなって雪の上に復帰していた。傾斜が急なところでは人間のトレースかと思うほどの明瞭な足跡であった。薬師岳山頂まで熊の足跡と一緒だった。

 最後に残雪の尾根を突き上げるとなだらかで広い薬師岳山頂に到着。熊の足跡は真の山頂を僅かに東に巻いて南に続いていた。三角点は雪の下。山頂標識は見あたらない。展望良好で南には堂津岳と思われるなだらかな稜線が見えているが遙かに遠い。その右手には後立山。写真判定で槍穂も見えていたことが判明。少し下って風の当たらない場所で休憩。この先もしばし雪が利用できそうだ。

 1700m峰からの下りで雪が続かず僅かに笹藪を突破したが、1680m峰まではほぼ雪の上を歩けた。ただし、灌木が出た尾根上にはそれなりの頻度で目印が付いており、高さからして無雪期に付けられたものに違いない。踏跡があるのかこの時点では分からなかったが、無雪期でも登れる程度の藪であることだけは間違いなさそうだ。1680m峰は東側を巻いたが次の1690m峰はてっぺんを通過、峠までの下りの尾根を見下ろしたが雪棚は崩壊してしまい尾根上を歩くしかなさそうだ。尾根に取り付いてみるとそこそこ明瞭な踏跡出現。灌木がはみ出ているが全くの藪よりずっと歩きやすくて助かった。

 乙見山峠に到着すると小さなお地蔵様がお出迎え。西側から明瞭な道が上がっていた。トンネルは目と鼻の先で道が無くても簡単に上がれそうだったが、道があった方が楽ができる。これから向かう松尾山方向にも踏跡が伸びていて、しばしの間は雪がないのでそれに従う。尾根直上より西側の方が藪が薄いようだ。雪が出てきてからはそちらに乗り移る。

 1654m峰で尾根は右に曲がると再び雪棚は消失し、尾根上の踏跡を進み、雪棚が現れるとそちらに乗り移る。いくら踏跡があるといっても整備された道ではなく、残雪の上を歩く方がずっと楽だった。最後に突き上げて松尾山山頂到着。意外にも尾根直上の雪は消えて三角点が出ていた。ここまで踏跡があったので山頂標識があるかと思ったら皆無。目印も見あたらない。松尾山は西に飛び出したピークなので、眼下には小谷温泉の建物が見えた。まだ小谷への林道は雪に埋もれて通行できないが。南から東の展望は良く、これから進む尾根の様子もよく見える。ここから見えるのは北向きの尾根なのでずっと雪が付いているように見えるが、裏側の南はどうだろうか。ま、それは下りになるので多少の藪は許容範囲だが。ここでも少々休憩。ここから柳原岳まではアップダウンがあり、柳原岳から堂津岳までは雪に覆われたなだらかな稜線が続いているのが見える。これを見れば柳原岳まで登るのなら堂津岳に足を伸ばしたくなる。

 松尾山を出発。雪は徐々に緩んできてはいるが、まだ堅い場所もあり下りは要注意だ。傾斜がある場所で滑って何度かコケた。1664m峰の下りは南西向きの尾根から南東に尾根が分岐する場所はわかりにくく、今回は快晴で視界に問題が無かったので簡単だったが、ガスの中で正しい尾根に乗るのは難易度が高いだろう。もちろん、逆コースでここを登りに使うなら問題ないが。この下りでまたコケて右肘を強打、擦り剥けはしなかったが打撲したようで右肘を曲げると痛かった(翌日まで痛みが残った)。

 今度は尾根東側の雪棚がずっと続き、尾根上の藪に突入することはない。尾根上には目印は見られず踏跡があるのか不明。1610m峰、1630m峰を越えてもったいないことに1570m鞍部に下り、残雪が続く1710m峰へと登り返す。ここは階段状の雪庇が続き、高さは数mだが傾斜がきつい部分が断続的に表れる。北向きの尾根で雪が硬く、キックステップで思いっきりつま先をけり込んでよじ登る場面も。雪庇が発達した1710m峰から1700m等高線のなだらかな尾根を進む。

そのまま連続する雪を伝わって1680m鞍部に下り、柳原岳への最後の登りにかかる。しかし山頂直下で雪棚が割れて一時藪に待避するしかなさそうだ。使えるところまで雪を伝い、灌木と笹の尾根に取り付いて上を目指す。残念ながら踏跡皆無、どうやらこの界隈は踏跡はないようだ。尾根直上より西側の方が笹、灌木が薄いのでそちらを選ぶ。ただ、雪から離れてしまうためどこで雪に復帰できるのか見ることができず、思ったよりも上部で残雪に復帰した。そこから山頂までは快適な雪稜が続いた。

 柳原岳山頂は2つのピークで構成され、地形図の標高点は県境から新潟側に飛び出した南峰に付けられている。北峰、南峰とも目視ではほぼ同じ高さで両者とも山頂標識や目印はなかった。北峰は一面の残雪、南峰は藪が出ていた。ここでも休憩。あと1時間くらいで堂津岳に到達できそうなので足を伸ばすことに決定。しかし、帰りの長い林道歩きを考えると本日の行動時間は12時間を超えるかも。雪がない林道なら歩くのも楽だが、気温が上がって緩んだ雪の上を長距離歩くのは疲れそうだなぁ。

 さて、堂津岳向けて出発。ここからはなだらかな雪稜が続き、今回のコースの中でもっとも楽しめる区間だ。標高が上がって植生はシラビソに変わっていた。その密度は薄くどこでも展望を楽しめるのがうれしい。1832m峰の二重山稜は往路は東側を、復路は西側を歩いたが、どちらも労力は変わらない。1850m峰は雪庇が発達してたなだらかなピーク。次の1920m峰へは少しまとまった登りであるが、樹林皆無の大展望の斜面だった。登り切ると堂津岳山頂部の一角だが、ここからしばし同じような高さの地形が続きどこが山頂なのかいまいち分からない。溶けて形が崩れているので人間のものか獣のものか不明だが足跡登場。

 ここでまじめに地形図を開けば良かったのだが、常識的には山頂は尾根の合流点だろうと乙妻山と繋がる尾根の分岐ピークまで行ってみたが標識等は皆無。地形図を開くとこの尾根分岐より北側に山頂があるではないか。でも、東山方面の展望を見るためにここまで来たのも悪くはなかった。この先には足跡は無く、奥裾花自然園から本日上がってきた登山者は皆無の模様。もう時期的に遅いからなぁ。

 逆戻りして真の山頂へ。しかし地形はなだらかで明らかな最高点の判別は難しくGPSの力を借りた。山頂を示した場所は残雪と地面が出た境界付近で、もしかしたら三角点が出ているかもしれないと探してみたらありました! 間違いなく堂津岳山頂だ。残雪期の藪山としてはそこそこ有名どころで山頂標識くらいあると勝手に考えていたが全くなし。目印すらない。人工物は三角点のみ。立木は無く360度の大展望。ここまで来ると火打よりも高妻、乙妻の方が近く、笹ヶ峰は遙かに遠く見えている。あそこまで歩かなければ・・・。体力回復のためザックの上にひっくり返って休憩。日差しが暖かかった。

 下山は柳原岳までは往路を戻り、山頂で地形図を開いて下山路を検討。できるだけ無駄な距離を省きたい。柳原岳北峰から北東に延びる尾根も考えたが、林道歩きがさらに長くなることもあってパス、最終的には1710m峰→1680m峰→1752m肩と進んで東尾根を下ることにした。問題は雪が残っているかどうかであるが、柳原岳から見る地蔵岳西斜面は一面の残雪であり、これから下るのは東向きの斜面なのでもっと雪が残っているはず。雪が無ければ適当に谷筋を下ってもいいだろう。

 1710m峰は1680m鞍部から東側を巻いてしまい、1660m鞍部に出る。1680m峰の登りでは僅かに籔が出た個所があるが、ほぼ残雪が利用できた。ここまで来るとシラビソ樹林から明るいブナ林に変わる。ピークを越えて1572m肩にかけての尾根が目に入るが、ここもまだ雪が乗っているようで一安心。ブナ樹林の中の回廊のような雪棚を進んで1572m肩に到着。ここで北に延びる尾根に乗るか東向きの尾根にするか考えたが、北尾根はほぼ無雪で籔が露出しているため東尾根に決定。しかしその東尾根も尾根直上は雪が落ちてしまっていて灌木藪が出ていた。それほどの密度ではないので下りでは大きな問題ではないが、籔が埋もれた雪の上と比較すれば邪魔である。面倒なのでまだ雪が付いた北斜面を下ってしまうことにする。下部の緩斜面帯は確実に雪が残っているだろうから、上部に雪が付いていれば籔漕ぎ無し。見える範囲の斜面は雪が付いているので大丈夫だ。

 出だしの傾斜はきついので、少し傾斜が緩んだ個所から斜面を下り始める。気温が上がって雪が緩んでいるので急斜面でもアイゼン不要で、靴底を半分滑らせながら快速で下るのは気持ちいい。振り返ると結構な傾斜で、これを登るのは苦労しそうだ。小さな谷底に出るとブロック雪崩の痕跡。自動車ほどもあるでかい雪の塊が滑り落ちていた。さすがにこれはビビる光景で、周囲に中止ながら早足で通過。傾斜が緩めば安全地帯だ。すると今度は熊の足跡。今日は熊の足跡を良く見るなぁ。

 一面の残雪で地面が見えない平坦地に降り立ち、北東に向けて適当に歩く。どこかで林道を横断するはずであるが、この積雪だと道が分かるだろうか。地形図だと河岸段丘と思われる崖マークより上部に林道があり、谷を越えてから河岸段丘境界に移り、小尾根を越えて西に向きを変えている。とりあえず平坦地内は河岸段丘上を進んで崖にぶち当たったが、横断したはずの林道には気付かなかった。崖下の平坦地に林道が無いか降りて確認したが無し。崖に沿って北上し、顕著な谷が現れるとその向こうに林道発見。1330m等高線と林道が交差する付近だ。谷はまだ雪に埋もれて簡単に渡ることができ林道に乗る。あとは延々と林道歩きだ。2時間はかかるかなぁ。予想通り林道は雪に埋もれて疲れそうだ。もう午後も遅い時間だがまだ気温は高く雪は柔らかい。

 少し林道を巡るとスノーモービル痕登場。スノーモービルだったら除雪終点まで30分もかからないかな。既に堂津岳を出発して2時間が経過し、小谷側へ抜ける林道との合流地点で最後の休憩。まだ先は長い。林道の端だけでも雪が消えた区間は足への負担が軽くスピードアップが可能だったが、全面が積雪に覆われた場所ではスローダウン。これだけの雪が解け切るにはまだ2,3週間かかるのではなかろうか。赤尾岳南側のみきれいに雪が消えていたが、東側に回るとたっぷりの残雪。杉野沢橋手前でエンジン音が聞こえたと思ったら背後から2台のスノーモービルがやってきた。この辺の雪面は凸凹があって大きくバウンドし走りにくそうだが、私の足よりは圧倒的に速い。あ〜あ、乗せてくれたらなぁ。橋を渡って少し行ったところで降って湧いたように人間の足跡が登場。まだ新しく今朝の足跡ではなさそうだ。後ろで鈴の音が聞こえたような気がして振り返ると真っ黒に日焼けした男性が私と同じ方向に歩いているではないか(実際は鈴の音ではなかった)。私は鈴を鳴らしつつ携帯音楽プレーヤで音楽を聴きつつ歩いていたので小さな音に気付きにくいが、これには驚いた。この後は男性とずっと話をしながら林道歩き。釣りに来たそうで川虫はたくさんいるのに魚はやせ気味とのこと。水温がまだ低くて餌の食いが悪いのだろうか。例年の今頃は杉野沢橋まで入れることが多く、今年は残雪が多いとのこと。私のとってはラッキーなことだ。人と話しがら歩くことは滅多に無く(というか、私の他に人がいない山ばかりだから)、30分の林道歩きは退屈も疲労も感じないまま車に到着できた。釣り人は仲間1名が先に車に持っていて、長野ナンバーの軽トラで先に出発した。私の方はあまりにも腹が減ったのでお湯を沸かしてカップ面を食べてから出発。笹ヶ峰駐車場には10台近くの車が止まっていた。


補足にヤマレコの記事もどうぞ(PDFファイル。ここをクリック)

 

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